DTPデータの保存にオンラインストレージを。そのメリットとデメリット。

印刷の技術について

容量の大きい印刷用DTPデータの保存をどうするか?

DTPデータは、非常に容量が大きく、重いのが難点です。
WEB用の画像は、72dpiの解像度で作られているのが多いのですが、印刷用DTP画像は、350dpi必要になります。

これがどのくらい差があるかというと、例えば縦10cm×横10cmの写真データの場合、

WEB用(72dpi)で、約2KB(jpeg画像)
印刷用(350dpi)で、約113KB(EPS画像)

ということで、約56倍もデータ量に差があります。
印刷用の画像は、A4冊子の見開き全面に使うこともあり、その場合は、90MBという大容量の画像ファイル(EPS画像)になります。

そうなると、画像の保存をどうするかというのが、結構な問題になってきます。
一昔前だと、CDやDVDに保存するのが一般的でした。しかし、大量に作成したDVDの中から目的の画像データを探し出すのは一苦労で、専用のデータベースを作ったり、保管場所を確保したりと、運用が大変です。

しかし現在では、NAS(ネットワークで共有できるハードディスク)や、オンラインストレージでの保存が増えてきています。

オンラインストレージのメリットとデメリット

オンラインストレージとは、サーバーのディスクスペースを、ユーザーごとに割り当て、インターネット経由でユーザーが自由にデータを保存できるサービスのことです。

オンラインストレージを使うメリットは、以下の通りです。

  • 社内に大量の画像を保存するためのメディアや、サーバーが不要になる。
  • 有料版だと、容量が無制限のところも多く、大量で大容量のデータも保存できる。
  • クラウドにデータを保存するので、社内でのサーバーやメディア管理が不要。それらが壊れた時のリスクが無い。
  • 検索機能が充実しているので、目的のデータを見つけやすい。
  • 火災や災害で、事務所が被害にあっても、クラウドにデータがあるので、安心できる。

というところでしょうか。

逆にデメリットは、

  • 完全にデータを社外に預けるので、信頼の置ける(ほぼ永続的にサービスをしてくれる)ところでないと、怖い。
  • クラウドサーバーにトラブルが起きると、完全にお手上げ状態になる。

というところです。

すべてを社内で管理しないと気がすまない人は、オンラインストレージは、ちょっと怖いでしょう。
しかし、社内で管理するということは、リスクもすべて管理しなければなりません。
サーバーに精通した管理者がいるなら良いのですが、そうでないなら、社内でサーバーなどが壊れた場合、やはり「お手上げ状態になる」リスクも、はらんでいるということです。

また、DVDやCDに保存していても、それらのメディアが破損したり、使えなくなるリスクも有ります。
元に、MacなんかはすでにDVDドライブすら搭載していません。

リスク管理を考えた場合、「餅は餅屋」で、オンラインストレージにデータを預ける方が、逆に安心かもしれません。

オンラインストレージは、たくさんの会社がサービスを提供していますが、例えばGoogleDriveの場合、無料版で15GBしかありませんので、DTPデータを保存するには完全に容量不足です。

なので、有料版という選択肢になってきます。有料版の場合、

1TBで$9.99ドル(約1,000円/月)
10TBで$99.99ドル(約10,000円/月)

になり、比較的安価で使うことができます。

1TBの上はいきなり10TBになるのが、どうかとは思いますが。
もっと細かく、2TBや3TBのプランがあって、月2,000円~3,000円で使えれば、申し分ないんですがね。

印刷用データの保管に頭を悩ませている印刷会社も多いと思います。
オンラインストレージを利用するというのも、考えてみてはどうでしょうか。

 

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