年賀状印刷は、なぜ白フチが必要なのか?

年賀状白フチ見本 印刷の技術について

印刷業界にとって、年末は特に繁忙期を迎えます。そのメインとなるのが「年賀状印刷」。
年賀状の市場は年々縮小傾向にありますが、それでも市場自体のパイが非常に大きいために、期間は限定されるものの、年賀状の印刷は印刷会社にとって非常に魅力的な市場であるわけです。

さてこの年賀状。印刷会社のほとんどは、上記画像のようにはがきのサイズいっぱいまでの印刷をしておらず、必ず周囲に白フチが出来ています。

今や家庭用のプリンタでも「ふち無し印刷」が当たり前なのに、どうして印刷のプロである印刷会社でふち無し印刷が出来ないのでしょうか?今回は、その秘密に迫ります。

年賀状印刷で、白フチが必要な理由とは?

年賀状印刷で白フチが必要な理由。それは「4面付きの年賀はがきに印刷するから」です。
4面付きの年賀はがきとは、以下の画像のような感じ。

年賀はがき4面付き

年賀はがきが4つつながった用紙です。一般家庭ではめったにみかけない形ですが、普通に郵便局で売ってます。
印刷会社は、この4面付きはがきで印刷します。1回印刷機を通すと、4枚分の年賀状が印刷できるので、単純に4倍のスピード、4分の一のコストで印刷できるので、非常にメリットがあるわけです。

4つの絵柄を一気に印刷し、その後で断裁して年賀状の大きさにします。
ポイントは、この断裁時。

断裁する時、必ず完全に年賀はがきの大きさになるわけではなく、若干の誤差が出ます。いかに精度の良い断裁機といえど、この誤差はどうしても発生します。

年賀状のレイアウトをふち無しにしていると、断裁時の誤差で隣の画像や写真が入ってしまうことがあります。
それを防ぐために、白フチが必要になるというわけです。

図解すると、こんな感じです。

4面年賀レイアウト

このようにふち無しでレイアウトした4面付けレイアウトを断裁すると・・・

年賀状断裁イメージ

断裁時の誤差によって、隣の絵柄が入ってしまったり、切れたりします。
上記画像は分かりやすくするために誤差を大きくしていますが、1mm程度の誤差は想定しないといけません。

なので、年賀状の周囲には白フチが必要になるのです。

でも、写真年賀状でふち無しのがあるんだけど・・・

白フチが必要なのはご理解いただけたと思いますが、写真の年賀状でふち無し印刷をしてくれるところがありますよね。あれって、どうしてるんでしょうか?

実は、ふち無しの写真年賀状は、年賀はがきにプリント写真を貼り付けて圧着しているんです。
すでに断裁済みのはがきに、銀塩写真のプリントを貼り付けているという仕組みになっています。

このため、年賀はがきは従来よりも厚くなっています。ふち無しの方が迫力がありますし、このような写真年賀状は人気ではありますが、ただひとつデメリットが。

それは、家庭用プリンタで宛名印刷が出来ない場合があるということです。
普通の年賀はがきよりも厚いため、プリンタを通らなかったり、紙詰まりが起きたりという問題を起こしやすいのです。

もちろん、プリンタの機種にもよりますが、こうした厚い写真プリント年賀状は、宛名印刷に気をつける必要があります。

まとめ

印刷会社で年賀状印刷を外注する場合は、白フチが付くものだと思って発注するようにしてください。その代わり、年賀はがきは厚くならないので、自宅で宛名印刷が出来ます。

ふち無しの写真印刷の場合は、厚くなるので宛名印刷は難しいです。外注ではなく、自宅のプリンタで印刷する場合は、ふちなし印刷ができるプリンタが主流なので特に問題はありません。

ただ、時間とコストを考えると、自宅で印刷するより印刷会社に外注するほうが安くて早く済むケースが多いです。
どちらを選ぶかはお好み次第ですが、年賀状という日本独自の文化を大切にしたいと思いますね。

年賀状印刷のオススメサイト:年賀本舗